「もともとは継がなくてもいいと思っていました。」創業105年の老舗傘屋「藤田屋」四代目の挑戦#2【マインド編】
今回、ザキヤマは、大正8年創業の老舗傘屋「藤田屋」四代目の藤田大悟さんに、家業を継ぐ決意を固めてアトツギになるまでの葛藤、帰郷してから半年間のトライや想いを伺いました。
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創業105年の老舗傘屋「藤田屋」四代目の挑戦#1【アトツギ甲子園出場の裏側】
(記事編集/しあわせ販促工房 窪田てるみ)
目次
もともとは、継がなくてもいいと思っていました。

ザキヤマ:
老舗の傘屋さんの家に生まれながら、静岡を出て15年。大手メーカーで働き家庭の基盤もできていたと思うんですが、「戻ってアトツギになろう」と決意を固めたきっかけって何だったんですか?
藤田さん:
実はもともとは、継がなくてもいいと思っていました。高学歴サラリーマンへのあこがれのようなものが当時あって、継がなくてもいいような人生設計をしていたんです。
傘屋だってことで、いじられていた子ども時代もありましたし。ただ、30歳を超えたあたりで「継ぐ」ことに対して考える時間が増えていったんです。
店舗が自宅という環境で育ったので、僕にとって店内は遊び場であり、お客様や店員の方々は家族同然でした。ところが、2〜3年前に「継がないなら、店をたたむことになるかも」との話が出てきて「戻る場所がなくなるんだ」と危機感を持ったんです。

藤田さん:
それと、当時の自分の関わり方が上から目線のコンサル(笑)みたいで。なんか微妙だなぁという思いもありました。
ザキヤマ:
口だけじゃなく、一緒に行動して変えていこうと。
藤田さん:
はい。同じ頃、前職の仕事でちょっと嫌なことが続いていたことも重なり、少しづつ決意が固まっていきました。
ザキヤマ:
ちなみにご両親との関係は、継ぐことになって何か変わりましたか?嬉しいんじゃないですか?
藤田さん:
直接本人たちからは聞いてないんですが、周りの人から「喜んでくれているよ」との声をもらっています。静岡に戻る前は、会話が少なかった時期もありましたが、今はめちゃくちゃ会話が増えました。
社内のスタッフも応援してくれているので、本当にありがたいです。

傘業界は斜陽産業じゃない。これから盛り上がっていく。
ザキヤマ:
藤田さんと言えば「ザ・アトツギ」「100年企業の傘屋」と、マーケサロンで認知されているわけですが、傘を売るのは市場的にも大変ですよね。
コンビニのビニール傘や百均、ドンキでも手軽に買える今の状況の中で、どうやっていくか?
静岡に帰ってくる前後でのギャップはあったんですか?
藤田さん:
事業的には大きなギャップはなかったんですが、傘の競合が意外と頑張っていると知ったのは、めちゃくちゃ驚きました。
当初は自分が頑張れば、競合を追い抜くことができるという気概を持って帰ってきたんです。
でも、競合がめっちゃ頑張っていたんです!マーケターやコンサルタントと組んでるとわかるような、ブランディングからプロモーションまで一気通貫した商品開発で、良い商品がどんどん生まれて、業界を生まれ変わらせている。傘のスタートアップもあります。
ザキヤマ:
傘のスタートアップですか?
藤田さん:
そうなんですよ!もともと傘業界にいた人たちが立ち上げたブランドで、本当のスタートアップではないんですけど、いきなり2年目で年商5億とかになっているので、そういうことが起こりうる世界なんです。
だから傘業界はこれから盛り上がっていくし、業界人としても本当に頑張らなきゃいけないんだって危機感を感じました。これは入ったからこそ知れたギャップでした。
ザキヤマ:
ポジティブな面で言えば、市場自体は盛り上がっていきそうだけど、その反面、自分たちも生き残らなきゃという危機感があるんですね。
藤田さん:
はい。もうひとつ、市場のところでギャップに感じたのは、想像以上に日傘の需要が高まっていることです。
傘ってどうしても「特定のシーンで使うもの」というイメージが根強いですよね。僕も以前はそう思っていたんですが。ところが想像以上に日傘の需要が高まっていて。今の暑さや気候変動の文脈でも、今後ますます、晴れでも雨でも傘を使う人が増えていくなと感じています。
ザキヤマ:
なるほど、そうなんですね。
藤田さん:
だからこそ伸びが期待できるし、海外だって異常気象の関係で需要が伸びるかもしれない。業界自体はすごいニッチで市場も狭いし、斜陽産業と思われがちなんですけど、可能性はものすごくあるんです。
「アトツギ甲子園」の時にもメンターの方から「傘業界が下がってるって内容を入れたら、プレゼンの説得力が増しますよ」とアドバイスいただいたんですが、全然そんなことはなくて。
むしろビニール傘が今後なくなっていくとか、日傘が普及して伸びてくるだろうと期待感を持っているくらいなので。
ザキヤマ:
じゃあ、アドバイスはされたけど、譲らなかったんですね(笑)。
藤田さん:
そうです(笑)。斜陽じゃないしって。
ザキヤマ:
もしアドバイスどおり入れていたら、審査員の同情票をもらえたかもしれないけど、あえてやらなかった。プライドもあるし、現実にそうじゃないから、言いたくないってことですよね!
藤田さん:
はい。言いたくなかったですね。伸びると思ってますから。
ザキヤマ:
ナイスですね!そこら辺の頑固さって大事だと思います。

やりがいとモチベーションのビッグウェーブ?!
ザキヤマ:
藤田さんのやりがいとしては、今はどんなことを感じてますか?
藤田さん:
やりがいは今、最高潮ですね。やりがいだけで言えば、MAXです(笑)。
あとは一人の力でどこまで頑張れるかみたいなところは、わからないです。まだアイデアマンから脱却できてないような気がします。
ザキヤマ:
今は新しいことをやるぞ、変えていくぞっていう、モチベーションに満ちあふれている状態なんですね。
藤田さん:
ただ、アップダウンの波は激しいです。テンション的なところですけど。
ザキヤマ:
どういうことですか?
藤田さん:
会社員時代も波はあったんですが、その頃が「0からマイナス10、10、マイナス20からプラス50」くらいの波だったとすると、アトツギになって以降は「マイナス100!からのプラス250!」みたいな。(笑)
ザキヤマ:
振り幅がすごい!(笑)
藤田さん:
ですね!この振り幅がなんかもう…すごいんです。
ザキヤマ:
びっくりするぐらいのビッグウェーブ!(笑)
藤田さん:
今はめっちゃモチベーション高くて「やってやるぞー!」って感じですけど、いつマイナス150になるかわからない。(笑)
ザキヤマ:
どれくらいの頻度で上下するんですか?
藤田さん:
特にはじめの頃は激しかったですね。。
ザキヤマ:
1週間ごととか?
藤田さん:
そうですね。1〜2ヶ月目ぐらいまでは、そんな感じで本当にきつかったです。
ザキヤマ:
今はだいぶ良くなりましたか?
藤田さん:
今はちょっとずつ安定してきましたね。
ザキヤマ:
わからないことが多かったから、ということかもしれないですね。
藤田さん:
もう…働く基盤を持っていないとか、本当に何にもわからない状態でしたから。人間関係もゼロからのスタートでしたので。
仲間がいるから、本来の自分らしく動ける
ザキヤマ:
アップダウンはあるにしても、いつも何かにトライしているエネルギッシュな藤田さんのモチベーションの源泉というか、突き動かすものって何なんでしょうか?
藤田さん:
もともと、エネルギッシュに行動していく方だとは思うんです。ただ、入社したはいいけど規定業務はないし、前職と違ってシステム関係も、あらゆることがないないづくしの状態で。
やる気より不安のほうが勝ってしまい、はじめの頃は本来の自分を出せずにもがいていました。
突き動かしているのは「何かしなければいけない」という強烈な危機感です。でも決して後ろ向きではなく、危機感を持ちながらも前向きに取り組んでいますし、行動したことで次にやるべき方向性が見えてきたなと感じています。
今は「アトツギ甲子園」やマーケティングサロンのおかげで、沢山の仲間を得ることができましたからね。仲間がいると、本当に心強いです!
ザキヤマ:
例えていうなら、ドラクエの序盤は1人で不安だけど、仲間が増えてパーティになってくると心強くて強い敵にも果敢に攻めていける。そんな感じですかね!(笑)
藤田さん:
そうかもしれません!どこの村で、どの村人に聞けばいいかわかれば、行動できますからね。(笑)
(後編に続く)
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