「町工場の未来はマーケティングでもっと面白くなる!」富士市の製造業に眠る可能性を信じ続ける男のローカルマーケティング哲学 #後編

読了時間の目安: 約3分
#事業承継#静岡県富士市
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山崎 啓輔(ザキさん)

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「富士市には、すごい技術を持った会社がたくさんあるんです。でも、全く外に伝わっていない。」

そう語るのは、株式会社カブフジの代表取締役、伊藤浩二さん。

日本有数の製紙産業を抱える富士市には、高い技術力を持つ製造業が数多くあります。しかし、その殆どが長年の下請け文化や職人気質の影響から、自社の強みを積極的に発信する習慣がありません。

「本物の職人は技術を隠すもの」

昭和のメンタルブロックさながらの考えを隠さない社長に、伊藤さんはマーケティングやデザインの力を使って新たな可能性を掘り起こす挑戦を続けています。

そして、思いは県外へ拡大!?ザキヤマが聞きました。

▼前編:
「発信はできない奴がするもの」を変えたい!富士市の製造業に眠る可能性を信じ続ける男のローカルマーケティング哲学

「発信はできない奴がするもの」という職人メンタルブロックを壊せ!製造業の伸びしろを信じる理由

ザキヤマ:
僕の場合は特定の地域への愛というよりは、マーケサロンというコミュニティにいる「半径数メートルの目の前の人」にギブしたい、役に立ちたいという貢献欲求が異常に強いんです。

伊藤さんの場合は、その貢献欲求が4人の子どもたちの未来を通じて「富士市」という具体的な地域に結びついている。そこがすごくユニークで素敵ですよね。

伊藤さん:
ありがとうございます。

ザキヤマ:
富士市ならではの弱みや、もどかしさってありますか?

伊藤さん:
明確なもどかしさは感じています。静岡市周辺は、ザキさんがマーケサロンを作ってくれた影響もあって、マーケティングやデザイン、AIといった最新トレンドに対して能動的にアンテナを張って発信している人がすごく多い印象があります。

一方で、富士市は良くも悪くも「製造業(ものづくり)」、特に製紙業を中心としたBtoB(企業間ビジネス)の街です。素晴らしい技術や独自のノウハウを持っている会社が本当にたくさん眠っているけど、それを外に向けて「発信する文化」が、驚くほど根付いていないんです!

富士市をWEBマーケティングでアップデート!Shinker曽根田氏とコラボセミナー

伊藤さん:
実は昨日も、地元の製造業の会社へホームページリニューアルとマーケティング支援の提案に行ってきたのですが、そこの社長さんからものすごい言葉を言われました。

ザキヤマ:
え、なんて言われたんですか?

伊藤さん:
「伊藤くん、世の中で自社の情報を発信してるやつなんてのはな、仕事ができないから自分をアピールするためにやってるんだよ。本当に仕事ができる本物の職人は、自分の技術や知識を外には隠すもんだ」って。

ザキヤマ:
私も言われたことあります(笑)でもなかなか難しいですよね。
一部の業界には「良いものを作っていれば誰かが見つけてくれる」
という価値観が強く残っている気がします。

伊藤さん:
そうなんですよ。僕はその社長に「それはものすごい機会損失ですよ!」とハッキリお伝えしました。

どんなに優れた職人の知識や技術があっても、それを言語化して残したり、外に発信したりしなければ、その職人さんがいなくなった瞬間に会社の資産はゼロになってしまう。それに、情報発信を「調子に乗った奴がやるものだ」と捉えていること自体が、ものすごくもったいない。

ザキヤマ:
その通りです!

伊藤さん:
富士市には、製紙工場で使うための特殊な機械を作っている会社がたくさんあります。でも、その「独自の機械を作る技術」って、本当に製紙業界だけでしか使えないの? と考えたら、他の製造業や全く別の産業にも応用できるケースが山ほどあるんです。

実際に、発信を変えて別業界からの新規受注をガンガン獲得している先進的な成功事例もある。なのに、周りが「うちは製紙がメインだからさ」「下請けだからさ」って、自ら視野を狭めて現状維持に甘んじている。

物流がこれだけ発達した現代、マーケティングの力を使って自社の強みを正しく発信すれば、富士市にいながら全国、いや世界中から仕事を受けられる状況なんですよ。

富士市の中で、今一番伸びしろがあるのは間違いなくこの製造業なんです!

JC賀詞交換会での伊藤さん(前列中央)

ザキヤマ:
確かに!BtoBマーケティングって、最近でこそIT系のSaaS(クラウドサービス)とかでは当たり前になってますけど、地方の10〜20人規模の泥臭いものづくり系製造業における成功事例やノウハウって、まだまだ確立されてないし届いてないですね。

採用マーケティングは少しずつ浸透してきましたけど、本業の技術転用や新規開拓のマーケティングまでは行っていない!

伊藤さん:
そうなんです。従業員が10人〜20人の町工場だと、大手企業がやるような大規模なマーケティング予算は組めないから諦めてしまうんです。

でも、そんな小さな街の会社でも、身の丈に合った金額とやり方で、自分たちの力で未来を切り拓ける方法があるんだということを、僕は地域に伝え続けたい。それが、僕がこの街で事業をやっている「仕事としての義務」だと思っています。

製造業の成功ノウハウを惜しみなくシェア。

ザキヤマ:
素晴らしい!中小企業でも、戦い方はある。諦めないでほしいですよね。

伊藤さん:
地道にセミナーを続けたり、対面でプレゼンをさせてもらう中で、少しずつですけどマインドチェンジしてくれる先輩経営者も現れ始めています。

先日のセミナーに来てくれた湯沢さんという製造業の経営者は、僕より10個上のJCの先輩なんですけど、うちのサポートを通じて「マーケティングへの考え方が180度変わったよ!」と、熱狂的なファンになってくれて。

なんなら、次のセミナーに「他のお客さんも2人声をかけて連れていくからな!」って、僕以上に必死になって周りに広めようとしてくれているんです(笑)

ザキヤマ:
湯沢さん、最高じゃないですか(笑)!
そうやって地元の同業者の中で「あそこが変わったぞ」という噂や口コミが横に広がっていくのが、ローカルマーケティングにおいて一番強力ですよね。

伊藤さん:
説得力がありますからね!

ザキヤマ:
DXとかデジタル発信が大事なのはなんとなく分かっていても、「具体的にどうやったらいいのか分からない」「やってどうなるのかイメージが湧かない」から一歩も動けない企業は多いと思います。

それに対して、伊藤さんのような身近な存在が伴走してくれるのは、地域の事業者にとって本当に救いになると思います。

正気の沙汰じゃない「プレゼン対決」で得た市民権は、地元からの思わぬ反響につながって。

ザキヤマ:
1人でネットにしがみついて「AIってどう使うんだ?」「どう発信すればいいんだ?」と奮闘している孤独な経営者にとっての光となり、新しい未来を一緒に切り拓きたい。

そんな地域への強い使命感を持つ伊藤さんですが、そもそもマーケサロンの中で一躍有名になったのは、やっぱり去年の11月に行われたサロン名物の「マーケティングプレゼン対決」の登壇でしたよね。あの狂気のイベント(笑)を振り返ってみて、どうですか?

伊藤さん:
いやぁ、あの企画は本当に、今思い出しても「正気の沙汰じゃないな」と思いますよ(笑)。あんな過酷なイベントを企画して運営するザキさんたちは、完全にパリピの集まりだと思っていました(笑)

プレゼン対決の打ち上げにて。ある意味パリピかも…?

ザキヤマ:
ハハハ、パリピ(笑)!

でも、登壇してくれた曽根田くん(株式会社Shinker 曽根田光氏)や安藤さん(株式会社エストリンクス 安藤悟氏)、浜松のゆうすけさん(スリーカウント株式会社 鈴木悠資氏)も含めて、みんな題材はめちゃくちゃ硬いビジネスなのに、ノリだけはイケイケどんどんの爆熱でしたからね!

立ち上げの裏話をすると、曽根田くんと僕が「未来のマーケサロンをどうしようか」ってホワイトボードの前に立って、その場の勢いでテーマと登壇者リストをバーって書きなぐったんです。

そのときに「富士代表は、絶対に伊藤さんがいい!伊藤さんが出てくれたら、富士からも応援団が来て絶対に盛り上がる!」って即決めたんです。

伊藤さん:
そんな勢いで決まってたんですね(笑)

でも、あのプレゼン対決に出て、僕の人生は大きく変わりました。本当に「サロンの中での市民権をいただいた」と、よそ者からようやく仲間入りをさせてもらえたな、という強い実感があります。

ザキヤマ:
市民権ですか!(笑)

伊藤さん:
実はあの当時、JCの理事長職の激務と、本業の忙しさが重なっていて、本番の1週間前まで何も準備が手につかない最悪の状況だったんです。「どうしよう、本当に爆発しちゃうかもしれない」って裏ではめちゃくちゃ焦っていました(苦笑)。

マーケティングプレゼン対決で登壇中の伊藤さん

伊藤さん:
最終的に自分の中で「もっと準備できたのに」という消化不良な部分はあったものの、大きなミスをせず、自分の地域への考え方を皆さんに伝えることができた。あの大きな舞台を乗り越えられたことは、経営者としての大きな自信になりましたね!

ザキヤマ:
伊藤さんが怒涛のごとく施策アイデアを繰り出したプレゼンには、みんな度肝を抜かれていましたよ!
圧巻でした。

伊藤さん:
しかも、その反響が予想もしないところに繋がったんです。なんと、地元の富士高校の先生が、あのプレゼン対決のオンライン配信をたまたま見てくださっていて。「富士市にこんなに熱いプレゼンをする人がいるのか!ぜひうちの生徒たちに喋ってほしい」と学校からオファーをいただきまして。

高校3年生向けに、1時間の枠で「心に刺さるプレゼンの極意」という特別講座の講師をやらせていただいたんですよ。先生の中で話がだいぶ盛られていて、「マーケティング対決の優勝者」として紹介されそうになって、焦って否定しましたけど(笑)

プレゼン対決では、見事勝利!

ザキヤマ:
ええーっ!

富士高校の先生が配信を見てスカウトに!?それはもの凄すぎるナイストライの連鎖じゃないですか!プレゼン対決を企画して本当に良かった……!

伊藤さん:
内容を細かく理解していなくても、「あいつ、なんか面白いことやってるな」「頑張ってるな」という「やってるな感」を周囲に見せることって、ものすごく大事だと思うんです。

同級生で、家業の後継ぎとして頑張っている斎藤雄大(株式会社斎藤鐵工所)という仲間がいるんですけど、彼も僕が1月のJCの賀詞交歓会でみんなの前で熱量込めて発表した姿を見て、「伊藤が頑張ってる姿に刺激を受けて、僕も後継ぎの集まりで自分の想いを熱く語ってきました!」と言ってくれたんです。

ザキヤマ:
嬉しいですね!

伊藤さん:
自分の身近な誰かがチャレンジしている姿を見ると、周囲に「じゃあ自分もちょっと変えてみよう、一歩踏み出してみよう」という勇気が伝染していく。この相乗効果の循環こそが、ビジネスを活性化させ、最終的に富士市という地域を盛り上げる最大の原動力になると確信しています。

富士代表として、あの狂気のイベントに勇気を出して出させてもらって、本当に良かったです!

ザキヤマ:
素晴らしい!最高の相乗効果ですね。

絶対に途絶えさせてはならない!富士のインフラを守り続けるカブフジの使命感と、県外へ拡大する思い。

ザキヤマ:
では、そんな伊藤さんが見据える、今後の「展望」を教えてください。

伊藤さん:
まずは、今やっているデジタルマーケティングやデザインの支援を、ブレずに淡々と愚直に継続していきます。まだまだ僕らの持っている知識や提供できる価値が、地域の困っている企業に届ききっていないと感じるので。

ザキヤマ:
たくさんいますよね!

伊藤さん:
それに加えて、うちの創業事業である「複写・製本」の分野なんですけど、実は現在、富士市内で図面の製本や特殊な複写ができる会社が、カブフジ1社しか残っていないんです。

ザキヤマ:
えっ…そうなんですか?

伊藤さん:
はい。同業他社がすべて廃業してしまって、引き継げる所がないんです。これは、ものづくりの街・富士のインフラとして、絶対に途絶えさせてはいけないし、守り続けなければいけない。僕らの使命だと思っています。

ザキヤマ:
自社だけでなく、みんなで守っていくんですね。

伊藤さん:
そして今後は、デジタルマーケティングの力を複写事業と掛け合わせて、富士市だけでなく静岡県外までも広げていきたいです!同じように職人不足や製本インフラの崩壊に悩んでいる他の地域の事業者に向けても、幅広くサービスを提供していきたいと考えています。

ザキヤマ:
素晴らしい!
スケール感が一気に大爆発しましたね!

伊藤さん:
地方には、もっと深刻に人口減少が進み、過疎化し、課題を抱えているローカルな会社が山ほどあります!

マーケサロンの1メンバーとして、これまで培ってきたノウハウと市民権を武器に、県外でも、自分がギブできるものに全力で貢献していきたいです。

ザキヤマ:
僕も福島に行ったりと県外活動もしているので、ぜひ呼び出してください!伊勢だろうが、飛騨高山だろうが、郡上八幡、四日市、桑名、どこでも喜んで飛んでいきますよ。

「ザキヤマ出張駆け込み寺」を各地でゲリラ開催しましょう!(笑)

伊藤さん:
いいですね!ぜひお願いします!

ザキヤマ:
ちなみに、今マーケサロンに入っているけれど、周りのレベルが高そうに見えて「私なんかが発言していいのかな……」と気後れしてしまったり、本業が忙しくてなかなかイベントに参加できずに活用しきれていないと感じているメンバーに向けて、何かアドバイスやメッセージをいただけますか?

伊藤さん:
それに関しては、とにかく「自分が少しでも興味のあるイベントに、まずは1回参加してみる」。これに尽きると思います。

ザキさん、毎週のようにものすごい数のセミナーや勉強会を開催しているじゃないですか。あまりにやりすぎて、税理士の先生に「これ以上イベントを増やすな!」ってガチギレで怒られたって聞きましたよ(笑)

マーケサロンのAI勉強会in富士。多くの方にご参加いただきました。
AI勉強会の講師として登壇中の伊藤さん

ザキヤマ:
そうなんですよ(苦笑)

昨日もその件でめちゃくちゃ説教されて…実は、本気で落ち込んで凹んでたんです(笑)。

でも、伊藤さんにそう言ってもらえると救われます!

伊藤さん:
ハハハ、だいぶ落ち込んでたんですね(笑)

でも、僕から見れば、あの怒られるほどのイベントのバリエーションこそがマーケサロンの圧倒的な価値なんです。普通、YouTubeやネットの動画でAIの勉強をしようと思っても、一方通行で自分の実務の細かい疑問は聞けないじゃないですか。

僕なんて、最初にサロンの「Claude Code生成勉強会」に参加したとき、完全にAI素人だったので、「これ、次どこを押せばいいの?間違えて押したらパソコンが爆発しちゃうんじゃないか……」って本気で恐怖におびえていましたからね(笑)

伊藤さんも参加した、Claude Code生成勉強会の様子

ザキヤマ:
爆発はしないです!(笑)

伊藤さん:
でも、サロンの勉強会は顔の分かる仲間がいる環境だから、素人の「恥ずかしいハードル」を簡単に超えさせてくれるんです。そして初めの一歩を超えれば、「あ、これもできた!あれも動いた!」って、できることがどんどん増えていく。

ザキヤマ:
初めの一歩も、仲間がいれば踏み出せるんですよね。

伊藤さん:
しかも、マーケサロンの人たちって、ライバル同士で顧客の奪い合いを起こしてバチバチするような殺伐とした空気が一切ないじゃないですか。

みんな信じられないくらい温かい愛情を持っていて、わからない課題をコミュニティにポンと投げてみると、桜井さん(株式会社HONE 桜井貴斗氏)や野田さん(合同会社NOD 野田拓志氏)、西島さん(株式会社デジタルアイデンティティ 西島弘文氏)といった凄腕の人たちが、信じられないクオリティの解決策を惜しみなく無料で大量に返してくれる。

プレゼン対決だって、普通なら高額な登壇料をもらって喋るようなプロフェッショナルたちが、「マーケサロンのためなら無料でノウハウをシェアするよ!」って平気で言ってくれる。こんなギブの精神にあふれたコミュニティ、他にないですよ!

ザキヤマ:
それはもう…僕も感謝しかないです!

伊藤さん:
だから、こわがらずに、まずは自分の「分からないこと」をコミュニティの中にポンと投げ込んで、この環境を使い倒してほしいなと思いますね!

ザキヤマ:
伊藤さん、最高のメッセージをありがとうございます!
落ち込んでいた自己肯定感が、一気にマックスまでブチ上がりました(笑)

AI導入スキームの件も、宮内章宏さん(SmartFlow 代表)や、なかあきくんといったサロンのAIガチ勢の支援メンバーも巻き込んでチームを結成し、カブフジさんとガッチリ組んで、地方の中小企業向けのフロント・ミドル・バックの共業サービスとして、これから一気に具体化していきましょう!

富士から東海へ、僕らのナイストライで地域をひっくり返しましょう!

伊藤さん:
いいですね!やりましょう!

今日はありがとうございました!

ザキヤマ:
こちらこそ、ありがとうございました!

伊藤さん、ナイストライ!

(記事編集:しあわせ販促工房 窪田てるみ、記事企画/ディレクション:ありかた 片井義之)

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