「これからトライする人こそ必要な場所」創業105年の老舗傘屋「藤田屋」四代目の挑戦#3【マーケサロンの活かし方編】

#事業承継
ザキさんのプロフィール画像
山崎 啓輔(ザキさん)

静岡市に本社を構える大正8年創業の老舗傘屋「藤田屋」四代目の藤田大悟さんは、アトツギ甲子園への挑戦をきっかけに、今もトライを続けています。

後編は、静岡マーケティングサロン(以下、マーケサロン)入会のきっかけや、事業者の立場から考える「マーケサロンの活かし方」を伺いました。

▼前編はこちら
創業105年の老舗傘屋「藤田屋」四代目の挑戦#1【アトツギ甲子園出場の裏側】

▼中編はこちら
「もともとは継がなくてもいいと思っていました。」創業105年の老舗傘屋「藤田屋」四代目の挑戦#2【マインド編】

(記事編集/しあわせ販促工房 窪田てるみ)

とにかく何かトライしたい、つながりを作りたい、と入会

藤田屋四代目・藤田大悟さん

ザキヤマ:
マーケサロンを使い倒していただいてますね!改めて、マーケサロンとの最初の出会いを教えてください。

藤田さん:
帰ってくるにあたり、静岡で税理士をしている大学時代の先輩に相談させてもらっていたんです。コミュニケーションが上手く、リスペクトしている方です。

「帰ります」とご報告をしたら「経営者って孤独だし、横のつながりが大事になるから色々と紹介するよ」と、その日のうちにLINEグループを作ってくれました。紹介いただいた方々の一人に、ザキヤマさんがいたんですよね。

「帰ってきたら飲み会やりましょう!つなげていくし、マーケティングサロンに興味があれば入会すればいいし」と言っていただいたんですが、飲み会の日程がなかなか決まらなくて…(笑)

当時の僕は藤田屋へ入社する日が目前に迫り、焦りに焦っていたんですね。「もう待ってられない!」と、マーケティングサロンのホームページを検索して自分でエントリーしました。

ザキヤマ:
そうでした!(笑)

藤田さん:
面談の日程が決まり、当日は気合を入れてスーツ姿で緊張しながら指定場所のSHIP(静岡県運営のイノベーション拠点)で待っていると、ザキヤマさんが「どうも〜」って超カジュアルにやって来て。

杉山写真材料店の肥田さんまで「静岡のカメラ屋です〜」と登場したので、一気にリラックスしたのを覚えています(笑)。

こんな感じで超カジュアル(?)に登場したはず
(出典:静岡みんなの広報

ザキヤマ:
そんなことありましたね!(笑)
面談のときはどんな気持ちだったんですか?

藤田さん:
当時はマーケティングを実践して会社で何かをやろうというより、地元が15年ぶりなので、とにかく静岡で横のつながりを構築したいという気持ちでした。

中小企業として商品や会社を好きと言ってくれる人たちを作っていくなら、マーケティングが大事だろうと思います。でも「とにかく何かトライしたい。つながりを作りたい!」が先行していましたね。

ザキヤマ:
入会後はどんな感じだったんですか?

藤田さん:
もうトライの連続でした。LINEのチャットにコメントするのも大変でしたよ。今は大丈夫ですが。

ザキヤマ:
マーケティングサロンのオープンチャットのことですね。マーケティング以外のことでも気軽に雑談や相談ができるチャットです。

藤田さん:
メンバーが150人以上もいますから。コメントするのも一つのトライです。特に悩みごとの相談とか。

自己紹介だけで何分も悩みましたし「いいねが少なかったら歓迎されてないのかな」と怯えたり(笑)。ただそこで自分からコメントできるかって重要なポイントだと思います。初めてSNSに投稿する人みたいにドキドキしながらもコメントしました。

藤田さんが怯えてコメントした自己紹介。「いいね」いっぱいついてます。

ザキヤマ:
ナイストライです!
怯えながらも(笑)、トライできた理由って何でしょう?

藤田さん:
一つは圧倒的な危機感です。この会社を引っ張っていかなきゃいけないという気持ちです。

もう一つはザキヤマさんの後押しです。新メンバー向けのキックオフ交流会で「こんな悩みや課題があります」と相談したら、ザキヤマさんが「解決しよう!壁打ちしますよ」と、1時間ほどヒアリングをしてくれました。

そこでマーケターの桜井さん(株式会社HONE代表・マーケターの桜井貴斗さん)とつなげていただいたり、「こういう課題があるならLINEにコメントするといいよ。誰かが答えてくれるから」と背中を押してくれたんですよね。

がんばる人の背中を押してくれる時のザキさん

ザキヤマ:
いきなり150人に向けて話しかける前に、一度ザキヤマと話したことがクッションになったんですね。

藤田さん:
助かりました。今でも「これは発信するべきだから言うといいよ」とサポートしてもらっています。

コミュニティの応援が背中を押してくれたアトツギ甲子園

アトツギ甲子園 関東ブロック予選当日の様子

ザキヤマ:
アトツギ甲子園出場のきっかけも、マーケティングサロンだったんですよね。

藤田さん:
そうなんです。「アトツギ甲子園」について知ってはいたんですが、過去のアーカイブを見ると実績のある人がよりスケールアップする話ばかりで…。自分には早いとビビっていたんです。

でもマーケティングサロンに入会して2ヶ月目位の飲み会で、ザキヤマさんから「アトツギ甲子園は興味ないの?」と聞かれて。

「あります」と答えたら、なんと静岡でファイナリストの小松さん(カネス製茶四代目アトツギ・小松元気さん)がメンバーだと知り「ぜひ話してみたいです」と伝えたら、その3日後には小松さんとお会いしていました(笑)。

しかもすでに出場する前提で話が進んでいました(笑)。

小松さんはとてもビジネス志向でバリバリ仕事をされている方で、「アトツギ甲子園」のルールや心構えなど、色々と深いところまで聞かせていただきました。

ザキヤマ:
小松さんは昨年の「アトツギ甲子園」に出たとき、Xなどで積極的に発信していたけれど、場所が金谷で静岡市から離れていることもあり、僕もなかなか応援に行けなかったんです。

ただ「誰かプレゼンの壁打ちを」と呟いていたので「自分でよければ」と壁打ちをして。その時に「実は予選も静岡は僕1人だけなんです。九州はみんなで行くぞと盛り上がっているのに…」と残念そうだったんですよね。

「静岡もそうなりたいね。マーケターやデザイナーさんもいるし、みんなで応援する流れを作りたいね」と話しつつ、去年は彼が決勝に進出したわけです。

今年は「サロンから誰か出ないかな」と言っていたところに、藤田さんが現れたわけですね。

藤田さん:
たまたまタイミングがバチッと合いましたね!気づいたらエントリーしてました!

マーケティングサロンや小松さんの後押しがなかったら「アトツギ甲子園」にも出ていないし、応援されることもなかった。ありがたいです。

「多くの方に応援いただけることで何かにつながると思います」

ザキヤマ:
ところで「アトツギ甲子園」に別のきっかけで出た場合と、今回のようにコミュニティを土台にして出た場合とでは、何が違うと思いますか?

藤田さん:
マーケティングサロンはマーケティング以外の人も沢山いるので、プレゼンの壁打ちも、色々な視点からアドバイスをもらえたと思ってます。

別のきっかけで出ていたら、壁打ち相手も1人か2人、もしくはいなかったかもしれません。支えてくれるサポーターみたいな尊い方たちが、沢山いらしたのが決定的に違う点です。

「アトツギ甲子園」に出るメリットの一つに「応援される力(りょく)」が増すことがありますが、コミュニティに属していたほうが、その力が増幅します。

ピッチは1人で登壇しますし、その後の事業がどうなるかもわからない。発表した事業だけをやっているわけでもありません。

でも、多くの方に応援いただけることで何かにつながると思います。マーケサロンのおかげで、応援してくれた人の知り合いにまで広がって盛り上がることができました。

ザキヤマ:
応援される力が複合的に広がっていったんですね。

事業者がマーケサロンを活用する方法

業務でつまずいた時の相談相手がいることって、ありがたい。

ザキヤマ:
マーケティングサロンという名前から、マーケティングをする人、業務などで直接関わっている人だけのコミュニティと思われがちなんですが、藤田さんは違います。

マーケティングと無縁だった人が、マーケサロンを活用する方法について教えてください。

藤田さん:
三つあります。まずシンプルに、マーケティングを学ぶ場所として活用できると思います。事業者がマーケティングを学ぶのは必要なので、入った方がいいです。

「マーケティングじゃないと思っていたことがマーケティングだった」ということも多いです。例えば理念やビジョン。それらもマーケティングとつながっているんだと。

僕もマーケサロンに入ってからマーケティングを勉強しています。

二つ目は「相談できる場所」です。現場の悩みを共有したり、「これって、どうしてる?」と相談できる方が沢山います。コンサルティングをしてもらっているかのようなメリットですね。

しかも実践的なスキルの高い方ばかりなので、ダイレクトに事業につながります。業務でつまずいた時の相談相手が沢山いるのは、ありがたいです。

三つ目がマッチングです。マーケティングサロンでは、ビジネスコミュニティにありがちな利害を感じるマッチングがあまり無いので、非常に貴重だと思います。

普通にコンサルティング費用を払ったら月数十万ぐらいする方たちが、何回も話を聞いてくれます。条件があるとすれば、それは「トライする人」「頑張っている人」じゃないかと思います。そこさえクリアしていれば、本当に色んな人が相談にのってくれますし、マッチングもしてくれます。

ザキヤマ:
相談される側もトライしているから、同じように頑張る仲間をサポートする
。それは損得なく。あと、マーケティングサロンの特徴として、みんな相談に飢えてますからね(笑)!

藤田さん:
こちらは逆に課題しかないですから。

ザキヤマ:
需要と供給が一致しているわけですね。

藤田さん:
コンサルティングを頼んでいる事業者さんでも、とりあえず全員マーケサロンに入ったほうがいいと思います(笑)。ザキさんと月に何回も話せて、めちゃくちゃアドバイスもらってますからね。

マッチングしてもらえるし、勝手に「アトツギ甲子園」の宣伝をしてくれて、応援もしてくれる。コンサルティングや行政のサービスでも頼んだら数十万円くらいはかかりそうなサービスを、月額3,500円(個人会員)の会費でやっているんです(笑)。

ザキヤマ:
3,500円でスポンサーが付くなんて、安すぎると言われちゃいますね(笑)。

ザキさん

このメディアでは、読んだ人が「自分もトライしているな」と確認したり、「トライしたいけどできない」人の背中を押すことを目指しています。
今日のお話は「藤田さんもこうして一歩踏み出したんだ。自分もやってみよう!」となってくれそうですね!

アトツギになって、世界が広がった

ザキヤマ:
最後に、アトツギで迷っている人にメッセージをお願いします。

藤田さん:
僕はアトツギになる前と後で、世界が広がる実感がありました。サラリーマンの時は、会社の中の世界が全てでした。大手企業であればあるほど、そこでどう生きるか、どう人間関係を作るかが全てになりがちです。

でも中小企業のアトツギになると、課題感が大手と全く違いますし、仕組みもないので、会社の中でどう頑張るかより、外の世界をどう見て、いかにつながるか、どこまで世界を広げられるかが重要になります。

そこで「こんな世界があったのか」「こんな職種の方がいるのか」「静岡がこんなに盛り上がっているなんて知らなかった」と新たな発見がありました。

もし都会の大企業で働いていて、地元のアトツギになることを迷っている人がいたら、僕の印象は「いい意味で違っていた」と伝えてあげたい。

大企業の一社員として見えていた世界よりも、地方のアトツギのほうが世界は断然広いと実感しています!日本中の色んな業種の人とつながれるし、本当に色んなことができます。

そういう意味で、今すごくモチベーションが高まっています。世界を広げたい。もっと自分でチャレンジしたいと思う人ほど、アトツギになってほしいです。

ザキヤマ:
アトツギにトライしたからこそ、世界が広がったんですね。

いいお話を聞けてよかったです。今日は、ありがとうございます!

藤田さん:
こちらこそありがとうございます!

ザキヤマが、あなたの悩みの入口になります。

静岡マーケティングサロンは実践者のナイストライを後押しして、実践者同士が生の事例や悩みを共有し「これってみんな、どうしてる?」を聞ける居場所です。

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