「自分も経営してみて、マーケティングが後回しになる気持ちがよく分かりました」静岡の明日を拓く。ヤマザキスポーツの挑戦
今回は、「マーケの現場から」の本格スタート記念として、私ザキヤマが逆インタビューを受けました。
聞き手は、マーケティングサロンの仲間であり、インタビュー企画『てる子の部屋』を運営している、漫画広報プロデューサーのてるさん。
実はザキヤマは、静岡マーケティングサロンの運営以外にも、店舗のマーケティング支援や講師業など、幅広く事業展開しています。特に2025年は新たに始めたことが3つあります。
「自分も経営してみて、マーケティングが後回しになる気持ちがよく分かりました。」
ザキヤマ自身が向き合うトライ、マーケティングサロンが目指す未来など、その裏側や本音を語らせていただきました。

聞き手:てるさん
しあわせ販促工房代表。漫画・イラストで企業の魅力を伝えて販売促進。中小企業の集客や広報をプロデュースしている。『てる子の部屋』を企画・運営。
| 話を聞いた人 | 株式会社ヤマザキスポーツ 山崎啓輔さん (ザキさん) |
|---|---|
| 事業内容 | 中小企業のIT・Web・マーケティングのお困りごと解決 |
| URL | 株式会社ヤマザキスポーツ(静岡県静岡市) |
| 設立 | 1952年3月12日 |
| ザキさんの ナイストライポイント | ・未経験領域への挑戦 ・事業譲渡と店舗経営への挑戦 |
※2025年7月時点の情報です。

目次
最近、ザキヤマさん何してる?
てるさん:
今日は出張版「てる子の部屋」として、ザキヤマさんの近況や、現在、株式会社ヤマザキスポーツが取り組んでいる事業について伺わせていただきます!
ザキヤマさん:
よろしくお願いします!僕も事業を整理するいい機会です。
今年2025年は、マーケティングサロン以外に新しく始めた事業が3つもあるんですよ。
まず1つめは、去年の12月頃から始まった、漢方薬局「医心堂」さんのマーケティング支援です。これは外部コンサルではなく、社内のマーケティング部長という立ち位置で取り組んでいます。

てるさん:
中の人としてなんですね。それはなぜでしょうか?
ザキヤマさん:
医心堂さんは、2023年から店舗集客のマーケティング支援をさせていただいていたんですが、自分の実力不足もあり、一年半で終了していたんです……。
てるさん:
そんなことがあったのですね。

ザキヤマさん:
ところが、僕が抜けたあとになって、やっていたことの意味に気づいてくれたようで、昨年12月に「もう一度入ってくれないか」とお声がけいただきました。
ただ、また同じ形で入っても、同じ結果になってしまうと思い、僕から提案したんです。「医心堂さんの社員の一人として、ウェブまわり担当というかたちで関わらせてください。」と。
てるさん:
どんな違いがあるんでしょうか?
ザキヤマさん:
コンサルタントの立場だと、やれることや言えることに限界がありました。でも今は、事業者の立場として事業を進めているので、社内調整も進めやすいですし、できることの範囲も広がっています!

ザキヤマさん:
メイン業務は、自社で開発したお通じ改善サプリの通販なので、広告運用とか拡販が僕のミッションです。たとえば、LP制作会社との間に入ってディレクションしたり、広告代理店と交渉したり、ときどきバトルもしています(笑)。
てるさん:
ええっ、そうなんですか(笑)!
ザキヤマさん:
なぜかというと、こう言ってしまうと広告代理店さんが悪者に見えてしまうのですが、代理店さんも対応の優先順位をつけてしまうんですよ。
てるさん:
優先順位ですか…?
ザキヤマさん:
そうです。僕も代理店側の立場で仕事をしていましたので、気持ちはわかるんですけど。広告予算が大きいクライアントの優先順位が高くなりがちなんです。
てるさん:
なるほど。
ザキヤマさん:
なので、代理店さんにこちらに目を向けてもらうためにも、毎日チャットを送って何かしら確認をしたり、広告レポートをいただいたら、こうやって作ると見やすくて助かりますよって要望や意図を伝えることもしています。
と言いつつ、心のどこかで「僕もできてなかったよな」って思うこともあって。過去の自分に対してブチ切れているようなもんなんです(笑)。

てるさん:
なるほど、過去の自分に対してなんですね。
ザキヤマさん:
もちろん今お願いしている代理店さんも含めてクライアントの利益を真剣に考えて提案してくれる代理店や担当者さんはたくさんいます。だからこそ「一緒に成果を出して儲けていきましょうよ、一緒に伸ばしていきましょうよ」って。このスタンスを大事にしています。
てるさん:
事業者と支援者、両方の立場を実体験としてもっているからこそ、伝えるべきことはしっかり伝えながら施策を推進することができるのですね。
ザキヤマさん:
それから、マーケサロンの仲間にも協力してもらっています。杉山写真材料店さんにSNS運用のアドバイザーに入ってもらったり、カメラマンのGhettyさんにECサイトで使う商品画像を撮影していただきました。
他にも日々の雑談の中で、多くのヒントやアドバイスを仲間から貰っています。
僕以外の専門家と情報交換することで、クライアントさんに新たな視点や、既存の価値を再認識していただける機会になるので、助かっています。
店舗経営にトライして、マーケティングが後回しになる理由に気が付けた
ザキヤマさん:
2つめは2月にスタートした、セルフ脱毛サロン「ハイジ」新静岡駅前店の店舗経営です。これはサロンメンバーの大石龍之介さんから、フランチャイズ加盟店を事業譲渡いただきました。

てるさん:
店舗経営は初めてですよね。いかがですか?
ザキヤマさん:
やってよかったと思ってます!店舗を経営する人の気持ちがわかりました。一番の変化はマーケティングに対しての考え方です。
てるさん:
どう変わったんですか?
ザキヤマさん:
僕はマーケティングが何より1番大事だと思っていました。だけど実際に店舗をやってみると、優先順位は3番目ぐらいだなって思いました。マーケティングをどこの領域で捉えて解釈するかにもよるんですけど。

てるさん:
なるほど、3番目。1番目と2番目はどのようなことですか?
ザキヤマさん:
まず第1にお店を開けることです。事業譲渡にあたり大事にしたのは、既存のお客さんにご迷惑をかけないように店舗運営を維持しながら、オーナーの切り替えをすること。
とにかく手続きやオペレーションや、メンテナンス。脱毛は直接肌に触れるものなので火傷しないようにとか、清潔さに一番気を使いました。
だから最初の頃は、毎日お店に行きましたよ!汚れてないか?散らかってないか?って、不安だったんです。
これまで維持されてきた状態を受け継いで、しっかりと継続させることに集中していました。
てるさん:
XやInstagramを活用して集客をする以前に、しっかりと店舗を引き継ぎ運営していくということが大切だったのですね。2番目は何でしたか?
ザキヤマさん:
第2に商品づくりです。もちろんチラシを配ったりSNSもやりたかったんですが、それ以前に商品を磨く必要がありました。たとえば、ペア割や学割、紹介制度キャンペーンといった、商品プランの作成です。
お客様が選びやすい商品プランがあってのSNSや広告なので、店舗経営におけるマーケティング(プロモーションの意味)や集客って、意外と優先順位が後ろの方だったんです。
てるさん:
なるほどなるほど。

ザキヤマさん:
ちなみにセルフ脱毛は無人店舗ですけど、有人店舗だと、さらにスタッフ教育やシフト調整、雇用保険や税金のことも考えないといけない。
店舗経営者がマーケティングを後回しにする気持ちがよくわかりました。「SNSやったほうがいいですよ」なんて、うかつに言えないなと。言いますけどね(笑)!
てるさん:
言うんですね(笑)!
ところで事業譲渡にトライした理由はなんでしょうか?
ザキヤマさん:
フランチャイズ本部の人たちの「誠実さ」です。
初めてお話したとき、「実はマーケティングが苦手です。でも、新静岡駅前店さんは、立ち上げの時から上手くやってて、本部の中でも注目されてます。そのやり方を他のエリアに展開したり、お互いに情報共有したいので、ぜひ教えてください。」って、正直に言われたんです。それがトライの決め手になりました。
「脱毛業界のグレーなイメージをクリーンにしたい」というハイジのミッションビジョンをしっかりと伝えてくれたことも理由のひとつでした。
今もマーケティング相談にのったり情報交換したりと、本部と加盟店という上下の関係ではなく、対等なパートナーとしての関係が築けています。
ビジネスは人が動く所から生まれる

てるさん:
3つめは、静岡市コ・クリエーションスペース、通称コクリの運営ですよね。わたしもコミュニティマネージャーとして参加させていただいていますが、「ここに行けばザキさんに会えて、マーケティング相談できる!」と来館される方もいます。
ザキヤマさん:
コクリは、静岡ベンチャースタートアップ協会(以下、SVSA)が静岡市から運営を受託した事業です。SVSAの髙地 耕平さんとの繋がりがきっかけで、運営メンバー兼コミュニティマネージャーのひとりとして、イベント企画や利用者のマッチング、マーケティング相談などを担当しています。
ザキヤマさん:
様々な事業者さんのリアルな集合場所になったり、スタートアップの人たちと出会えるのも、ありがたいですね!

てるさん:
交流拠点になっていますよね。
わたしも実際コクリにいて、交流からアイデアがうまれる現場を見ています。ところでザキさんは新事業への向き合い方でも、人と会ったり話すことを大事にしていますよね。
AI時代に逆行するアナログ戦略をとっている印象がありますが、なぜでしょう?
ザキヤマさん:
結局、僕がやってることって「人を動かす」ことなんです。それが一般のお客さんだったり、クライアントさんだったり、経営者さん、広告代理店の営業さんだったりするだけで。
人って相手がやってくれてるから「やってあげよう」と思うし、行動してる人を見て「自分もやらなきゃ」と危機感にもつながるし、トライしているから応援したくなる。
「人を動かす」=「つい、動きたくなっちゃう環境を作る」
AIで時短や効率化が注目されてますけど、実行するのは人なので、例えば組織や感情の壁があったときに、直接会って根回しするといったような効率悪いことで超えられたりすると思うんです。
人を動かすのは、やっぱり人なんだと思ってます。

てるさん:
静岡県袋井市でメンバー主催のマーケティング駆け込み寺 in 袋井に参加したり、恵比寿でバーの1日店長をやったりと、ザキさん自ら動いてますよね。
ザキヤマさん:
僕の判断基準は、基本的にマーケサロンのメンバーにいい影響があるかどうかなんです。静岡市以外の地域が盛り上がることで、静岡のサロンメンバーの刺激になればと思っています。

ザキヤマさん:
他の事業についてもそうです。医心堂さん、セルフ脱毛サロンにコクリに講師業と、あわせて5つの軸になりますが、すべて静岡マーケティングサロンのみんなに還元されるからやっています。
ただ、5つの軸でやっていると「何のためにやってたんだっけ?」と自分を見失いがちになるので、そんな時に立ち返る場所として、『マーケの現場から』があります。
それと、記事でマーケティング相談のビフォー&アフター、見える化ができている。これは、マーケティングサロンで実現したいこと、そのものでもあるんです。

マーケサロンを通して「本当の意味で相談ができる場づくり」をしていく
てるさん:
改めて、マーケティングサロンが目指すゴールって何でしょうか?
ザキヤマさん:
商工会議所2.0計画です。本当の意味で相談ができる場づくりです。
ブラックボックスになりがちなマーケティング相談や取組みの見える化は、次世代のために僕らがやらなくちゃいけないし、やりたいことだし、「若者が魅力を感じる静岡」というビジョンに近づくことなのかなって思ってます。
マーケティングの理解が進めば事業者と支援者のミスマッチが減り、支援のプレイヤーも増える。その結果、静岡で就職したいっていう若者が増えるかなと思うんですよ。
てるさん:
それは、何年計画ですか?
ザキヤマさん:
いま、小学3年生の娘が進路を決めるタイミングだから、あと8年。静岡で進学して就職してほしいんです!だったら僕も寂しくないなと思って…(笑)。

てるさん:
娘さんへの想いが原動力なんですね(笑)。実現にむけて、今年後半にトライすることはありますか?
ザキヤマさん:
11月21日(金)夜に「マーケティングプレゼン対決」を開催します!
てるさん:
昨年、東宝会館で開催された「マーケティングプレゼン対決」は、県外からの参加者も含め、264人を集客したビッグイベントになりました。この企画にかける想いを教えてください。
ザキヤマさん:
マーケティングという切り口で、面白い取り組みや、新しいトライをする事業者が増えてほしいです。そして若者がそんな企業と出会って、「静岡にこんな面白い会社ある!」と働きたい人が増えたり、外からも静岡で働きたくなる人が増えることを目指しています。
やってることは全てそのためです。今年は静岡駅前の静岡理工科大学グループM20ビルを会場として使わせていただけるので、学生をどんどん巻き込んでいきたいと思っています!
てるさん:
今年の「マーケティングプレゼン対決」も期待ですね!今日はありがとうございました!
ザキヤマさん:
ありがとうございました!

(記事編集:しあわせ販促工房 窪田てるみ、企画/ディレクション:ありかた 片井義之)
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