「まず打席に立て!」3万袋ヒットを生んだ年間10個のトライと失敗を恐れない愛の告白理論 #老舗お菓子問屋・山口毅雄の挑戦 後編

読了時間の目安: 約3分
#事業承継#静岡県藤枝市
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山崎 啓輔(ザキさん)

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「ボクシングで例えるなら、独立した起業家たちは『フェザー級』で、僕ら老舗のアトツギは『ヘビー級』。スピードでは勝てないけれど、時間をかけてガードを固めれば、一発で効く重たいパンチが打てるんです。」

前編では、ゼロから独立する同世代への葛藤や、社内9割反対の中で強行突破した過去のしくじり。そして12年越しに社員と一丸となってビジョン『日本でオンリーワンの価値創造会社になる』を掲げるまでの道のりを語ってくれた、株式会社大黒屋の山口毅雄(たけお)さん。

後編では、ヘビー級のパンチとして繰り出された「3万袋ヒット商品」の裏側と、いくら頭で戦略を練っても打席に立たなければ結果は出ないという、たけおさん流の泥臭い哲学にザキヤマが迫ります!

大手の隙間を狙い撃ちした「ばかうまいチップス」

ザキヤマ:
前編では12年かけてガード(社内体制)を固めてビジョンを掲げた話を聞きましたけれど、その「ヘビー級の重い一発」として生まれたのが、最近SNSでも話題の『静岡弁まるだし ばかうまい!ポテトチップス』ですよね!

発売1ヶ月で3万袋って、大手メーカー(カルビー)の特売ラインと同じくらいの水準ですよね?

静岡市内のスーパーでよく見かけます。方言ネタで盛り上がる!

たけおさん:
そうなんです。ありがたいことです!

僕らのような菓子卸のビジネスは、他社から仕入れて卸すスタイルですから、利益率が低いのが弱点なんです。でも自社で企画して、地元の松浦食品さんに製造をお願いすれば、自社商品として高い利益率を確保できます。

ザキヤマ:
利益率改善も狙った自社企画だったんですね。でも、大手PR会社へ委託して大々的に仕掛けたわけじゃないですよね?

たけおさん:
全然入れていません。僕らはPRノウハウがあるわけじゃないので、運とタイミング、そして「市場のスキ」を狙ったんです。

お菓子業界って何年かに一度、深刻な「ジャガイモ不足」が起きるんですね。大手が供給制限をかけてスーパーが「特売に入れる商品がない!」って困る絶妙なタイミングを見越して、発売日をそこに狙い撃ちして設定したんです。

ザキヤマ:
えっ、大手が品薄になるタイミングを狙ってぶつけたんですか!?まさに隙間マーケット戦略じゃないですか!

たけおさん:
自社スタッフが持ち込んでくれた企画を揉んで形にしたんですけど、狙い通りスーパーの特売ラインにスポッとはまってくれました。

裏では納品先を巡る嬉しい悲鳴や社内のバタバタもあったんですけど(笑)、社員が自発的に企画して形にした「重い一発」になりましたね。

絶体絶命のナフサショックから生まれた直売所

ザキヤマ:
もう一つの重いパンチとして、工場の横に作った「さくら棒ファクトリー(直売所)」もありますよね。あの即断即決のスピード感もすごかったです!

たけおさん:
あれはね……実はめちゃくちゃ危機的な状況から生まれた「焦りの産物」だったんです(笑)。

原油価格の高騰で包装用フィルムが作れなくなる「ナフサショック」が起きましたよね?仕入れ先の袋屋さんから「見通しが立ちません」って連絡が来ちゃって。

卸事業部は他社商品を売ればいいので生き残れますけど、自社で製造している「さくら棒」の製造部門は、袋がないと1〜2ヶ月売り上げが完全ストップして大変な事態です。

「袋で出荷できないなら、直接お客さんに手渡しする場所を作らなきゃ!」ってパニックになりまして。

ザキヤマ:
そこからどう動いたんですか?

たけおさん:
どこかに店舗を借りていたら時間もコストもかかります。だから「工場の目の前の事務所を半分潰せば、今すぐ売る場所ができるじゃん!」って即座に事務所を改装して直売所にしたんです。

子どもたちが大好きな駄菓子セット🎶

そしたら思いのほか地域の方がB級品を買いに来てくれて、しっかり売上になってくれました。ピンチがあったからこそ、「直売所」という新しいチャネルが誕生したんですよね(笑)。

戦略を練るより打席に立て!「年間10個」挑戦するからこそ1個が当たる

ザキヤマ:
「ばかうまいチップス」にしても「直売所」にしても、机の上で戦略を何ヶ月も練っているだけじゃ絶対に生まれない成果ですよね。

周囲を巻き込みながら、そうやって次々と新しいチャレンジを続けられる秘訣って何なんですか?「失敗するのが怖い」「もっと計画を詰めてから…」って踏み出せない人も多いと思うんですけど。

たけおさん:
秘訣は「ちっちゃいトライをずっとやり続けること」に尽きると思います!

いくら頭でマーケティングの作戦を練っていても、実際に市場に出してみないと当たるかどうかなんて誰にも分からないじゃないですか。

だから僕は、毎年新しい商品や事業を「年間10個スタートする」って決めているんです。

2022年には、さくら棒ソフトクリームも販売!

ザキヤマ:
年間10個!?

たけおさん:
そうです。1年で10個トライして、生き残るのはせいぜい1個くらい。SNSやメディアで取り上げられるのはその成功した1個だけで、見えていない裏では9個も失敗しているんです。

頭の中で「当たるかな、失敗したら嫌だな」って止まっているくらいなら、小さく打席に10回立った方が絶対にいいです。打席に立ち続けていれば、だんだん成功する確率も上がってきますし、巻き込める仲間も増えてきますからね。

失敗しても元の状態に戻るだけ――たけお流「愛の告白理論」

ザキヤマ:
「10個打席に立って1個当たれば大成功」。分かってはいても、やっぱり「失敗」そのものが怖いという人にはどうアドバイスしますか?

たけおさん:
みんな「失敗したらどうしよう」って恐怖を感じると思うんですけど、これって「好きな女性への告白」とまったく同じなんですよね(笑)。

ザキヤマ:
え、告白!?どういうことですか?(笑)

たけおさん:
告白する前って、相手と付き合っていない状態ですよね。で、勇気を出して告白して、振られたとします。……すると、振られた後も「付き合っていない状態」に戻るだけなんです。

ザキヤマ:
確かに……!告白する前も、振られた後も「付き合ってない」のは同じですね!(笑)

たけおさん:
そうです!(笑)告白しなくても付き合っていないんですから、結果としては元の状態と何も変わりません。

ビジネスのチャレンジも同じで、失敗したらちょっとお金が減るのと、精神的なショックがあるだけです。元の状態に戻るだけなんですから、失うものを恐れるより、打席に立たないことで「経験値という資産」が得られないことの方がよっぽどリスクなんです。

ザキヤマ:
「告白理論」めちゃくちゃ名言ですね(笑)!失敗しても経験値が手元に残るなら、実質的なリスクはゼロだと。

僕が共同経営に参画したコワーキングスペース「Colony」の再建もまさにこれで、「失敗したとしても、そのプロセス自体がマーケサロンの資産になる」と思って打席に立ったんですよね。

たけおさん:
まさにそうです!だから、頭の中で戦略ばかり練って悩んでいる人は、まず今月できる「ちっちゃいトライ」から、失敗を恐れずに打席に立ってみてほしいですね!

たけおさん流・マーケサロンの活用法

ザキヤマ:
最後に、マーケサロンに入ったけれど「一歩踏み出せない」「活用しきれていない」と感じているメンバーに向けて、アドバイスがあれば教えてください!

たけおさん:
相談があればチャットで投げれば誰かしら経営者メンバーが打ち返してくれますし、相談しにくかったらまず「ザキさんに直接聞く」のが一番良いと思います!

ザキさんが「それなら、この人がいるよ」って、コミュニティマネージャーとして適切なメンバーを繋いでくれますから。

僕自身もサロンの繋がりで仲間が増えたり、メンバーの藤田くんの傘を買って工場に飾ったりと、良い循環が生まれています。一人で抱え込まず、この環境をうまく使って「ちっちゃなトライ」の第一歩を踏み出してほしいですね!

さくら柄の傘は同じアトツギでもある、藤田大悟さんの藤田屋さんで購入したもの。

ザキヤマ:
「まずザキに相談してみる」、これが一番の近道ですね!たけちゃん、今日は最高に熱いお話をありがとうございました!

ナイストライです!

たけおさん:
ありがとうございました!

ナイストライ!

(記事編集補助:しあわせ販促工房 窪田てるみ、記事企画・ディレクション:ありかた 片井義之)

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静岡マーケティングサロンは実践者のナイストライを後押しして、実践者同士が生の事例や悩みを共有し「これってみんな、どうしてる?」を聞ける居場所です。

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